イングランド2日目。
なんとなく目覚めが悪い。そりゃそうだ窓もない部屋なんだから。
夕方まで部屋でのんびりしていてもいいのだけれど、さすがにそういう気持ちにはさせてくれないよねこの環境は。
みっちり細かく立てた計画表の中に昼間の予定は一切記載されていなかったのだけれど、致し方ないので出かけてみる。
暖かいんだか寒いんだか微妙な天気のもと、ヴィクトリア駅を右手に北上、ハイド・パークへ行ってみた。多分来るのは初めて。一時間ほどぷらぷら歩き、持参したスケッチブックで写生大会を催すも、あまりに絵心がありすぎて失意のまま公園を後にする。
そして東へ向かってバッキンガム宮殿。これは一人で見てもなんとなくつまらんなぁ。一応さささっとスケッチして、同じアングルで写真を撮っとく。通行人に覗き込まれて失笑を買ったので最後まで描き続ける勇気がない。
それから更に東に行くとロンドン橋。さささっと5秒くらいスケッチ、そして写真。もう気持ち負けしている。
いいかげん観光は飽きたのでチューブでカムデンへ。さっさと今日の開場の場所を確かめたい。と思ったらすぐあったKOKO。その裏手にある、(The) Hope & Anchorという名前のなんでもないパブで食事、と思ったら何もなかったのでパイント・オヴ・ギネスとクリスプス、プリーズ。
開場まで3時間以上ある。並ぶにしたって1時間もいらんだろうしさて困った。カムデン・タウンを歩いてみたけど人が多すぎてすぐ疲れちゃったし。じゃあ何年か前に行ったゴールデン・ライオン(またパブ)に行ってみよう。何かライヴやってるかも!と懐かしの道を勇ましく歩き始めて10分して気付いた。あーこの道違うぞ。ググル地図で調べたら(いやー便利になったね!)しっかり90度違う方向に向かっていたことが判明して、でももう空腹ピークなのであっさり諦めた。アー気持ちが負けてる。
KOKOの隣の隣のレストランでハンバーガーを食す。うーんそろそろ米を食べたい。日本食やを調べておけば良かった。決して味に満足はしなかったけれどもそれは多分こっちの問題なので気持ちよくチップを置いて出てくる。
さて開場1時間前。おっともう並んでる人がいる。とっても実直そうな初老のスーツ姿の男性。鞄を見るにいかにも仕事帰り。おー一番取られた。でももう一杯ホープ&アンカりたいので通り過ぎて先程のパブへ、と思ったらラグビー中継?かなんかでうるさい。う〜んやだなー、と思ったら中年カップルも並び出しちゃった。おートップ3取られた。やっぱりメダル届かず。でも入賞はしたいので並ぶ。気持ち負けてる。
開場10分前。しっかり行列が続いていた。よかった早めに並んどいて!
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今回、もちろんカメラは持ってきている。YouTubeでは有名アーティストもガンガン勝手にアップされているし、会場でのチェックも甘そう。だから撮ること自体はまったく問題ないんだろうけど、でも「勝手に」ってのはなんだかこっちとしては困る。昔、(ニッポンだからってことは勿論あるけど)撮影してほしくない、YouTubeには上げてほしくないhttps://www.amazon.co.jp/dp/4750316644/ref=cm_sw_r_sms_awd_vcOVwbZ6KH2V7、個人の思い出の為だけならOKというミュージシャンがいて、ああそういうことなら、とカメラを仕舞ったことがある。またある時は、YouTubeならいい、でも君が自分の名義をはっきりさせているサイトだと困る、という人もいた。理由を聞くと、YouTubeは無法地帯だから止めようがない。イヤなんだけどどこの誰がやってるんだか分からないから文句の言いようがない。だからYouTubeならいいよ、と。その時も(当然)ああそういうことなら、とカメラを仕舞った。
だから多分、今トトチャンに上がっているもので、演奏者本人もしくはスタッフや主催者の誰も知らない、という映像は一つもない。はず。実際そんなのどうでもいい話なのかもしれないけれど、撮り始めた時期にあったあれやこれやをクリアにした上で成り立ちを見出せたサイトである以上、僕にとっては大事なこだわり。
向こうの人達って、どうなんだろうねそういうことに関しての本音の部分は。向こうとかこっちで分かれる話ではないのだろうけど。
止められないだろうことは百も承知なのだけど、でもこの7年間あれこれ考え続けてきたことでもあるので、海外旅行だからってこれだけ特別扱いにするわけにもいかないのだ。だって撮る気まんまんなんだから!
というわけで妥協案として出たのが、しれっと事前にメールという究極自己満足な落とし所。ウィルコ・ジョンソン、レックレス・エリックにそれぞれメールを送り、「きゃー大ファンですニッポンから行きます楽しみにしてますがんばってください。ビデオも撮ります→リンク」ほぼ同じ文面で送っといた。勿論返信はない。「バカかコイツは。だからニッポン人はヤなんだ」くらい思ったかもしれない。でもそうするのが最低限のトトチャン流儀なのだ。少なくとも今までは。
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とかいっときながら、止められるとやっぱりヤなのでリュックの一番下にカメラを仕舞う(笑)。入場時に「バッグ開けて」と言われて、全開にして見えたのはギュウギュウに丸めたダウンジャケットとスケッチブックのみ。我ながら小さい男だ、と思った。
ドリンクバーにも行かず真っ先に最前確保し、隣に陣取っていたカタそうなおじさんにビデオ撮影って出来るもんなんですかね?と聞いてみる。すると、「多分、無理だろう。だってほら、テレビかな?大型のカメラも設置してあるだろ?少なくともここから撮ってたらNGだよ」だよ。しょぼーん。
おじさんに場所を確保しておいてもらいトイレに行く。帰りにバーでビールを注文し、懲りずに店員の娘さんにもう一回聞いてみる。返事はこう。「え?なんで?なんでダメなの?みんなフツーに撮ってない?」
結論。基準がないんだね。個人が基準を決めるのだね。日本に居続けるとついつい忘れそうになっちゃう。てか忘れてた。なんだかすっきりした気分でステージ前に戻り、カメラのセッティング(でもこっそりだけどね)を済ませ開演を待つ。
前座はEight Rounds Rapidという、音は違うけどフィールグッズ的いでたち4人組。ヴォーカルはハーヴェイ・カイテルとリー・ブリローを足して3で割ったような顔。ギターはテレキャスをかっこよく弾きまくっていたけど、とても大事なところでシールドを踏んづけて抜いてしまうという荒業を3回もやってのけていた。普通の直線シールドなんだからエンドピンに回せばいいのに、御大への敬意なのか学習能力がないのか。まあいいけど。
ステージと客席の間にはカメラブース。前座が終わる頃にわさわさとカメラマン達(軽く10人超)登場。もうちっとも「最前列」じゃない。しかも屈強な坊主頭(必ずこういうルックスだよね)の警備スタッフが僕の50cm前に。もういよいよカメラを取り出しにくい(やっぱ弱い)。
でももういいや、えい!ってカメラを出したら、屈強なジャイアン、チラっと僕を見て、以後ガン無視。ああ、そういうことなのか。
ブースのカメラマン達、後ろのお客のことってまったく気にしないのね。横切る時もかがむわけでもなく、撮りたい体勢撮りたい位置で撮りまくっている。まあ仕事なんだしね、と思ったら中にはずっと動画撮ってるヤツもいるぞ。途中で端からステージに上がって袖から撮ってまた戻ってきたり。結構自由な空気が流れています。しかも30分くらいでいなくなるのかと思ったらアンコールまでいたよ。いいな〜カイガイ。
ステージでは両サイドから2台の(映像)手持ちカメラ。そもそもセッティングが変だったんだ。ノーマン上手、ウィルコ下手のはずが、ウィルコがステージ中央。つまりドラムのディランの真ん前。いつものセッティングのつもりでいい位置(中央からちょっと下手寄り)を陣取ったつもりが、大誤算。完全に二人が被っちゃった。多分これも撮影の為なんだろうね。ウィルコの更に下手位置でカメラ構えてたら、狂犬が走り回って来た時にぶつかっちゃう。ドラムセットも前座バンドのものなんだけど、バスドラにプリントされた彼等のロゴ、ウィルコの出番になったらシートで完全に隠しちゃってた。・・・なんか本人も勿論そうだろうけど、回りも一生懸命「何か」をしたいんだろうなぁ。わかるわかる。オレもしたもん「勝手」に。
ちなみに演奏ですけど。1曲目はかなりヨレヨレ。近年の演奏はYouTubeでも観ているので今更驚きはないけど、声は勿論、ギターのジャッキジャッキ感もさすがに衰えが来ている。そんな野暮なこと言ってんじゃねーよって話になるのは分かっているけど、今まで一回も書いてないから、でももう最後だから。ああ、ウィルコ。
ウィルコがいる時は常にノーマンがいる。少なくとも僕が知っている絵は全てそう。ウィルコ・ジョンソンはオンリーワンな、孤高の人だけれども、ノーマン抜きには語れない。子供が観たら泣きそうな、そんなルックスとアクションの二人がステージの左右を陣取っているっていう絵。そりゃトラウマになる。治療の為に数年に一度訪れていたけど、これから先はどうなるんだろう。
とかいってドラムのディラン・ハウが実はまとめ役なんですね。好き勝手な二人の手綱を(こっそり)引いて、最後に落としどころをちゃんと見つけてあげている感じ。なんかすごく印象変わった。今まで「やっぱサルじゃなきゃ」とかテキトーにほざいてたけど。
ちなみに会場の音は悪い。ヴォーカルが回ってるよ。大抵こういう時はヴィデオの方がクリアーに聴こえたりするもんなので、家に帰ってから観るのが逆に楽しみ。

Everybody’s Carrying A Gun ~ Barbed Wire Blues ~ Dr. Dupree ~ Going Back Home ~Roxette ~ Sneakin’ Suspicion ~ Keep On Lovin’ You ~ When I’m Gone ~ Paradise ~ Don’t Let Your Daddy Know ~ Back In The Night ~ She Does It Right ~ (ENCORE) I Don’t Mind w/ Alison Moyet ~ All Through The City w/ Alison Moyet ~ Bye Bye Johnny ~ (ENCORE2) Twenty Yards Behind

切れが悪くなろうがなんであろうが、やっぱりウィルコはウィルコなのであって、どう考えても変わりが利かない。ほとんど歌舞伎の世界のように、「いよっ待ってました!」みたいな展開ばかり。それならそれこそ跡継ぎをと思うけれど、それじゃただのコピーになっちゃう。ウィルコで感じる何かを、他で代用しようという気にはどうしてもなれない。まあ不可能な話。
「バイ・バイ・ジョニー」に入る前、チューニングをやり直し、曲に入ったらやっぱりダメだったのでサブのギターと取り替えて、よし行くぞと思ったら接触不良で音がヘンテコすぎて、やっぱり元のに変えて絶好調で肩車ギターも披露してくれたら、4弦切れちゃって、そしてお決まりの弦張替え。とまあここまで完璧な流れを、しかもアンコールで出来ちゃう、それがやっぱりウィルコは相変わらずウィルコなんだなー。いつまでたっても永遠に本番男なんだなー。
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次は明後日。最後が明後日。
まあ多分、この人はまだライヴやると思うけど。日本にもまた来るんじゃないのかなー。
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帰りの地下鉄の駅で、日本人の美人グループに遭遇。僕のすぐうしろから聴こえた黄色い歓声の発信源だった人達だ。一人はどこどこのライヴにも足を運びます!なんて言ってた。大ファンなんだなきっと。なのでさりげなくトトチャンを宣伝しといた。なんで名刺忘れちゃったんだろう。ただ単にバカだからか。こっちに住んでいるらしい。いいなー。不味いメシ問題をどんな風に解決しているだろうか。
疲れたので帰ってすぐ寝た。興奮で眠れなかったってことはなかった。
tags : wilkojohnson england london koko tot-channel trip2013

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