水曜日はそれなりに忙しい。クリスも張り切って機械に入ってくる。特にセット替えの時は鼻息を荒くしてレンチを手にする。そんな時、毎回のように起こる微妙な衝突。
ちょっとガイドの位置が変わっている。彼が決していじらなかったところが変わっている。「ここは触る必要はないよトット。」「そんなことないでしょ。だってこの立ち位置から考えてもその都度変えた方がフィルムの張りが良くなるよ」「…。」15秒くらい彼は冬眠してしまう。こっちも的確な表現が出来ない。終わり方は決まってる。どちらからともなく「Okay」。これだけ。
互いに機械オペレイターとしての経験と自負があるだけに、中々うまくいかない。
恐らく英国人同士、日本人同士なら大した問題にならないことでも、互いにつつきあいたくなってしまうのだ。
相手が外国人だと、ちゃんと理解出来ているかな?分かっててやってるのかな?などと心配してみたくなるものだ。
なんのことはない。これって、僕が日本で中国人やペルー人に対してやっていたことじゃないか。クリスはきっとあの時の僕のように感じて、ある意味善意で言っているだけなのだ。ホルヘや伍さんはきっとこの時の僕のように感じて、どうしようもないジレンマを抱え込んでいたのだ。