寝不足で朦朧としている時、向かいに立っている女性がブツブツブツブツブツブツ喋り出した。
彼女の手には教材テキスト。『レッツ・スピーク・イングリッシュ』だかなんだかそんな類のことが書いてある。そして彼女の耳にはヘッドフォーン。
つまり聴きながら、声に出して、テキストを読んでいるわけ。

僕の隣にはバスケットが大好きそうな黒人の青年。僕とほぼ同時に彼女の発声に気がつき、2人でたまに目を合わせながらも彼女から気をそらすことが最後まで出来なかった。

偉いなぁ。探求者はこうでなくてはいかんなぁ。電車の中で英語教材を聴いたことはあるけれど、一緒に発声したことはないもんね。そういう発想自体なかったね。
埼京線はかなりガタゴトうるさいからあまり彼女の存在も目立たなかったんだけれど、やっぱ、僕は出来ないだろうな。
「ちょちょちょっと、ななななんなんなんだぁあんたぁ!」
ていうくらいうろたえちゃったもん。
でもね。彼女は偉いよ。

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