Tot - Channelっていうサイトは当たり前ながらライヴを撮影する、という所から成り立っているのであって、それにはそもそもこれまた当たり前ながらハコがなくては成り立たないものであって、じゃあ一体どんなハコで撮っているのかというと、もうオチは分かっているかと思うけど、新宿のレッドクロスで撮影したものが非常に多い。
2005年11月に初めて彼の地を訪れ、カウンターの向こうからハイネケンを渡してくれたのがこの男、猪狩剛敏氏であった。そもそも僕は、この人のことはイカーリー・ヘップバーンという名前で認識していて、あのヘンテコバンド(ハッチハッチェルビアオールスターズ)のギタリストが何故こんな所にいるのか?という甚だしいまでの無知が彼への興味の基点になっている。その後しばらくしてから、ストライクスのギタリストだったという興味を増さざるを得ないような事実をハッチハッチェル氏に教えてもらって腰を抜かした次第だ(「お前はホントに何も知らないんだな!何でも知ってるぜみたいな顔しといて!」)。更に言わせてもうならば、腰を抜かしておきながらも、僕はストライクスの存在すらも知識として知っている程度で、その音楽をじっくり聴き込んだ記憶がない。まったくひどい話である。しかし時に、無知は武器にもなり得る(というかそれだけで生きている)。2006年現在のレッドクロスのカウンターの奥にいるその人と、知り合って間もない間柄として何度か会話を交わすことで、(恐らく)等身大の彼の人となりに共鳴する部分を覚えたのだ。
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2006年5月28日のディーゼル・アンのライヴでお邪魔した時にハイネケンを受け取るついでにこの企画のアイデアを伝えると、「おおいいね。やろうやろう!」と二つ返事で快諾してくれた。その後、単なる僕の怠慢から日程が定まらず、そろそろやらなきゃ、と「いつにしようか?」と持ちかけたのが8月1日。そして彼の返事は、「じゃ明日にしよう!」。正に即決、思い立ったら即実行の男なのである。その行動規範の分かりやすさは下記の話の節々にも顕著に現れているかと思う。
8月2日水曜日。場所は新宿の某デニーズ(だったか某ジョナサン)。14時に待ち合わせして、別れた時には既に18時半を回っていた。テープを回す前に、「前知識」として背景というか裏話的なものを教えてもらっていたらあっという間に1時間半が過ぎ、それから3時間に渡る超ロング・インタビュー!のつもりだったんだが阿呆がテープを勘違いしてて2時間弱でちゃっかり切れてしまっていて、阿呆がそんなこともすっかり忘れて話に聞き入ってしまっていたというとんでもないオチなのである。しかもこっちはビールで向こうはコーヒーだ。真面目に心から申し訳ない気持ちで一杯なのだ。
そんなわけでイカリさんのマシンガントーク、ほんの一部だけここでご紹介させていただく。これを読んで少しでも彼に興味を持った人は、続きは是非本人に直接聞いていただきたい。但し生半可な気持ちで行かないように。語りだしたら止まらないから!
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